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公開価格はどう決まったのか。バトンズ神瀬社長が明かしたIPO準備のリアル

公開価格はどう決まったのか。バトンズ神瀬社長が明かしたIPO準備のリアル
公開価格はどう決まったのか。バトンズ神瀬社長が明かしたIPO準備のリアル

「噂」ではなく「本人の言葉」でIPOを学ぶ月例会

株式公開(IPO)の準備は、外からはなかなか見えません。「〇〇らしい」「〇〇と聞いたことがある」といった出どころの分からない話が出回り、準備中の企業がかえって迷ってしまうこともあります。こうした状況に向き合っているのが、株式会社IR Roboticsが運営する会員制コミュニティ「Next IPO Club」です。本気でIPOを目指す企業を対象に、直近2年以内に上場した企業の社長や、上場準備に深く関わった役員本人の話だけを共有しています。

2017年7月から活動を続けており、これまでに一般市場へ40社、TOKYO PRO Marketへ8社が上場しました。その月例会の8月度が8月20日(木)に開かれ、2026年4月21日にグロース市場へ上場した株式会社バトンズ(東証GRT554A)の代表取締役CEO、神瀬悠一氏が登壇しました。

バトンズ(東証GRT554A)神瀬社長
バトンズ(東証GRT554A)神瀬社長

カーブアウトから上場へ。バトンズが歩んだ道

バトンズは2018年、日本M&Aセンターの一事業部がカーブアウトする形で生まれた会社です。M&A・事業承継支援プラットフォーム「BATONZ」を運営し、「誰でも、何処でも、簡単に、自由に、M&Aが出来る社会を実現する」というビジョンを掲げています。テクノロジーとコンサルタントが役割を分担するビジネスモデルを築き、創業初年度に約40組だった年間成約数は約20倍の水準まで伸びました。

  • 累計成約数:約3,600組
  • 買い手会員数:30万超
  • M&A支援機関向けSaaSの利用:約1,900社

順調に見える成長の裏で、創業初期には資本金1億円を早々に使い切るという苦しい時期もありました。それでもVCには頼らず、経営陣によるメンバーラウンドを2度行うなど、独自の資本政策で事業を育ててきました。上場の目的は資金調達ではなく、「金融機関などが安心して顧客に紹介できる信頼性の獲得」です。スピードを優先し、創業8期目での上場を選びました。

神瀬氏のキャリアも多彩です。2000年に日本ユニシス(現BIPROGY)のエンジニアとして社会人生活を始め、NTTデータグループのシンクタンク・コンサルティング会社を経てリクルートへ。マーケティングから事業開発まで幅広く経験しました。2018年に顧問としてバトンズに関わり、2019年に取締役CMOとして正式に参画。4期目に代表取締役に就任しています。

Next IPO Club8月度月例会の様子
Next IPO Club8月度月例会の様子

クローズドな場だから語られた5つのテーマ

完全クローズドで行われる月例会らしく、当日はIPO準備の過程で実際に起きた出来事が具体的な数字とともに紹介されました。主なテーマは次のとおりです。

  • 想定を超えた証券審査のボリュームと、「事業計画の精度」への厳しい追及
  • プラットフォームの健全性をめぐる「上場の条件」
  • 公開価格決定の舞台裏――コンプスとロードショーの実態
  • VCとの売出し交渉と流通株式の確保
  • 上場後に直面した「〇〇〇〇」と課題

自社では動かせない「外部環境」との向き合い方

なかでも参加者の印象に残ったのは、「どれほど体制を整えていても、上場準備は外部環境に大きく左右される」という話です。業界全体への逆風、他社の不祥事、審査基準の厳格化。自社ではコントロールできない要素が、審査の論点や公開価格に直接響いてきます。そうした状況の中で神瀬氏が選んだのは、価格よりもスピード、そして現場メンバーの負荷を重視するという判断でした。

上場は「ゴールではなくスタート」。神瀬氏のこの言葉は、まさに今IPO準備を進めている会員にとって重みのあるものでした。教科書には載っていない経営者の判断軸に触れられる、貴重な学びの時間になったといえそうです。

公開価格はどう決まったのか。バトンズ神瀬社長が明かしたIPO準備のリアル

次回11月度はバルコス山本社長が登壇

11月度の月例会には、株式会社バルコス(名証ネクスト7790)の代表取締役社長、山本敬氏が登壇する予定です。同社はバッグや財布などの服飾雑貨ブランド「BARCOS」の企画・販売やWEBメディア運営などを手がけ、2020年10月にTOKYO PRO Marketへ上場したのち、2025年2月3日に名証ネクストへ上場しました。Next IPO Clubでは、ネットや噂に左右されない一次情報を求める上場準備中の企業を引き続き募集しています。

出典:IR Robotics