第21回札幌国際短編映画祭(SAPPORO Short Fest 2026)の授賞式が、10月23日(金)に開かれ、各賞の受賞作品が発表されました。会場は札幌市西区にある生活支援型文化施設、コンカリーニョです。今回は世界94の国と地域から2,622作品の応募がありました。そのうち28の国と地域の96作品が〈オフィシャルセレクション〉としてノミネートされ、3名の国際審査員による厳正な審査を経て受賞作品が選ばれました。
今年の国際審査員は次の3名です。香港を代表する映画監督で、カンヌ・ヴェネチア・ベルリンの世界三大国際映画祭で審査員を務めたジョニー・トー氏。第37回東京国際映画祭で東京グランプリ・最優秀監督賞・最優秀男優賞の3冠を達成した映画監督の吉田大八氏(『敵』『桐島、部活やめるってよ』)。そして、釜山国際短編映画祭アーティスティック・ディレクターのイ・サンフン氏です。

グランプリは台湾発、リコーダー部の少女と少年の物語
グランプリに輝いたのは、ロンズオ・ジュアン(Rong-Zuo Zhuang)監督による台湾の作品『トゥッティ:息をあわせて(Tutti)』です。リコーダー部に所属する少女と少年の心の交流を、心温まるドラマとして描いています。
国内最高賞にあたる最優秀国内作品賞は、矢野ほなみ(Honami Yano)監督のアニメーション作品『エリ(ERI)』が受賞しました。子どもを産み続ける乳牛たちの切ない心情や生き方を描いた作品です。日本初公開作品を対象とするジャパン・プレミア賞には、田中未来(Miki Tanaka)監督の『BAD NEGOTIATION』が選ばれました。世代の違う上司と部下のヒリヒリする関係を描いたドラマです。

『ゴッド・イズ・シャイ』が映画祭初の4冠、演技賞や各部門賞も
最優秀監督賞は、フランスのジョスラン・シャルル(Jocelyn Charles)監督によるアニメーション作品『ゴッド・イズ・シャイ(God is shy)』が受賞しました。人間の心の奥にある深層の恐怖をテーマにした作品で、最優秀アニメーション賞、最優秀脚本賞、最優秀作曲賞(音楽:P.R2B)もあわせて受賞。本映画祭で初めてとなる4冠の快挙を成し遂げました。
最優秀女優賞は2作品が受賞しました。1作品目は、オンライン韓国語講師の女性が抱える心理的な不安を描いた韓国のスリラー『Hanako』で、ハ・ジョンミン(Jeongmin Ha)さんが出演し、チョン・ウヌク(Eunuk Jeong)監督が手がけました。2作品目はポーランドの『すべては彼女のせい(It’s all because of her)』で、ベアタ・ニジェラ(Beata Niedziela)さんが出演し、ダリア・コピエツ(Daria Kopiec)監督が手がけました。そのほかのインターナショナル・コンペティションの主な受賞作品は次のとおりです。
- 審査員特別賞:『ロインズ:死体裁判』(監督:ドリアン・イェスペルス/ベルギー、フランス、北マケドニア、イギリス)
- 最優秀男優賞:『シンク:美しい声』(出演:オンドレイ・ザラ(息子)/監督:ルボシュ・ヴァツケ/チェコ)
- 最優秀美術賞:『灰色のアリの生活』(プロダクション・デザイナー:ルイーザ・シャバス/監督:カラズ/カナダ)
- 最優秀ドキュメンタリー賞:『3人の調律師』(監督:パヴェウ・ホジェンパ/ポーランド)
- 最優秀コンテンポラリー・エクスペリメンタル賞:『愛のための議論』(監督:ガブリエル・アブランテス/ポルトガル)
- 最優秀編集賞:『海が忘れてしまう前に』(監督:ゴック・ドゥイレ/シンガポール)
- 最優秀撮影賞:『ロインズ:死体裁判』(撮影:アルノー・アルベロラ/監督:ドリアン・イェスペルス)
- 最優秀学生監督賞:『マヨルカの夏』(監督:ヴァレリア・クニー・カペリャ/スペイン)
- 最優秀ノンダイアログ賞:『アグワ・アタ:秘密の部族』(監督:ズザンナ・クライフ/フランス、ハンガリー)
- 最優秀ミニショート賞(10分以下):『オン・ザ・ライン:新しい街で』(監督:アナスタシア・イトキナ/カナダ、ウクライナ)
- 最優秀アウトドア・アドベンチャーシネマ賞(Outdoor Adventure Cinema部門):『Sikoqqinngisaannassooq』(監督:アダム・セビール/グリーンランド、ノルウェー)

北海道ゆかりの賞、子ども審査員、Micro Docs、そして新設賞
北海道の放送局6局(NHK/HBC/STV/HTB/UHB/TVh)が選ぶ北海道メディアアワードは、大川祥吾監督の『お呂美と珠里右衛門(オロミとジュリエモン)』が受賞しました。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を原作とする時代劇ミュージカル作品です。株式会社アミノアップから贈られるアミノアップ北海道監督賞には、渡邊航介監督の『耳をすませば、日常はもっとあたたかくなる』が選ばれました。不要な音を消せるアプリをめぐる約10分のドラマ作品です。
チルドレンショート賞は、「ファミリー&チルドレン」プログラムの9作品を対象に、小学生12名の「子ども審査員」が選びました。最優秀チルドレンショート賞は『ゆきの日』(監督:マリオン・オヴァン/ベルギー、フランス)、銀賞は『サルのだいぼうけん』(監督:アントナン・ニクラス/スイス)、銅賞は『たいようの子ども』(監督:アンドレア・セレショヴァー/スロバキア)と『POSTMAN』(監督:YUUUKI/日本)の2作品です。
3分30秒以内のショートドキュメンタリーを対象とするナショナル・コンペティション、Micro Docs部門では、『檻の山小屋』(監督:タニショーゴ)が最優秀賞、『テンプ』(監督:浅里のぞみ)が優秀賞、『The Master Carver』(監督:松本トラヴィス)が撮影賞を受賞しました。最優秀作品には、Yahoo!ニュース ドキュメンタリーで新作を発表するチャンスが与えられます。中学生と高校生が制作するマイクロドキュメンタリーを対象としたMicro Docs U18では、聖徳学園高等学校の生徒の活動をまとめた『私たちが活動する理由』(監督:曽我響生)に奨励賞が贈られました。同部門の審査は、ドキュメンタリー・プロデューサーでカメラマンの金川雄策さんと、ドキュメンタリー映像作家の森田雄司さんが務めました。
今年新設された「ヒューマン・インテリジェンス賞」(Presented by ユメバウ)は、AI時代に人間ならではの物語を紡ぐ力とクラフトマンシップを称える賞です。初の受賞作品には、ノルウェーのマリウス・ロルフスヴォーグ(Marius Rolfsvåg)監督によるSF作品『アニマリア:野性の世界(Animalia)』が選ばれました。

ノミネート作品は11月13日から全国でオンライン視聴が可能
今年のノミネート作品は、オンライン上映で全国どこからでも視聴できます。会期は2026年11月13日(金)から11月29日(日)までです。ほぼすべての作品が約2週間視聴可能で、最終視聴可能日は2026年11月29日(日)の予定です。視聴は第21回札幌国際短編映画祭の公式ページ内、右上の「オンライン上映」から行えます。



